自己愛性人格障害と国際離婚

自己愛性人格障害者と離婚する決意をしながらもまだまだ決着がつかない海外在住者の独り言です。

宗教の壁

私が住んでるこの国。

夏に裁判は一切行われない。

7月と8月、裁判申請書類などの受理はするが、

肝心な裁判は9月にならないと行われない。

 

だから、9月になってから離婚申請書の提出をすることに、

私と弁護士さんは決めた。

9月は、離婚申請書の作成に時間を掛けた。

そして、10月になり、弁護士さんから連絡をもらった。

「明日、提出するからね。

裁判所が受理して、だいたい一週間くらいしたら、

相手にその書類が届くと思うよ。

子どもたちに説明して、信頼できる友達や隣人に声を掛けておいて、

何かのときに備えておくように。

気をつけて!」

知りあいの弁護士さんは、私と子どもたちの身の安全を

いつも心配してくれている。

 

ついにこの時がやってきたか!

私は怖いながらも、嬉しかった。

これで先に進めるからである。

 

一週間後、そろそろかもしれない‥と、私はオドオドしていた。

裁判所からの書類は直接、裁判所が配達人を雇い、その相手へと届ける。

家の前に車が止まると、

裁判所からか!?と、怖くなった。

進めたい離婚裁判ではあるが、

書類を相手が受け取ったらどんな反応をするか、怖かった。

 

突然、弁護士さんから、電話が来た。

普段、私は弁護士さんと電話でやり取りをしない。

相手に知られたくないからだ。

私は常に自分の携帯をマナーモードに設定している。

弁護士さんとのやり取りはいつもメッセージでしている。

 

電話をしてくるとは、とても異例なことだった。

私は相手に気づかれないように電話を取った。

弁護士さんは言った。

 

「離婚申請書は出せなかった。」と。

 

意味がすぐに分かった。

 

この国は宗教を重んじている。

私と相手は区役所への結婚届とは別に、

宗教婚もしている。

そこに引っかかったのだった。

まずこの宗教婚を解消しなければいけないのだ。

私はこのことは知っていたが、宗教婚をこの国でしていないため、

管轄外だと思っていた。

(ちなみに区役所への婚姻届も違う国である。)

弁護士さんも同じように思っていた。

しかし、今回、弁護士さんが裁判所に行き、書類を提出しようとした時に、

裁判官から、教会に問い合わせたほうが良い!と言われたそうだ。

そこで問い合わせたところ、確かにこの国で宗教婚はしていないものの、

宗教婚をしている事実には変わりないので、まず宗教婚の解消を!

ということであった。

 

この宗教婚を解消しない限りは、

裁判所に離婚申請書を提出出来ない、これがこの国の決まりである。

 

私は気軽に宗教婚をしてしまったことを悔やんだ。

しかし、今更そんなことを言っても仕方がない。

 

この宗教婚が解消されるには、なんと3ヶ月も掛かる。

なるべく長い期間を設け、双方が和解し、元の鞘に収まることを

教会側は期待してるのかもしれない。

実際、この3ヶ月の間に、教会から電話が掛かってくることもあるそうだ。

そして、教会は当事者たちに話し合いを勧めるそうである。

 

私は外国人だから、教会から電話が掛かってくることは多分ないと思う、

と言うのが私の弁護士さんの見解ではあったが、

「もし、掛かってきても、私は気持ちを変えません!と言えば良いからね。

教会が離婚を止めさせる権利は一切ないから!」

と、弁護士さんが付け加えて言ってくれた。

 

思わぬところで、また足踏みを食らってしまった。

しかし、私は少しホッとしていた。

後2ヶ月ほどでクリスマスになってしまうからだ。

そして、またクリスマスの休みが入ってしまうからだ。

だったら、クリスマスが明けてからのほうが良い、と思った。

 

私と子どもたちは、年末年始をホテルで迎えた。

相手の分のホテルなどはもちろん、私は取らなかった。

「もし来たかったら、もし子どもたちと年末年始を過ごしたかったら、

自分の分は自分で取って来てね!」とだけ、私は相手に言った。

 

私は相手が来ないことは知っていた。

裁判所にあれほど、

子どもたちを大切に思ってる!

家族は一緒にいるべきだ!

などと訴えたにも関わらず、

相手はホテルには来るはずないと、私は確信を持っていた。

お金を使いたくのは明らかだし、

まず、子どもたちと余暇を過ごすなんてことは好きではないのだ。

相手が来ないこの事実に、私たちは喜んだ。

私と子どもたちは、のんびり楽しい時間を過ごした。

 

この休みが終わったら、戦いが始まる。

私は、そう考えつつも、休暇を思いっきり楽しんだ。

楽しめるときは楽しまないと!

 

そろそろ、3ヶ月が終わる。

教会からの電話はなかった。

教会からの宗教婚の解消承諾書は、

間もなく私の弁護士さんに届くことだろう。

 

私は今か今かとその日を楽しみにしている。