自己愛性人格障害と国際離婚

自己愛性人格障害者と離婚する決意をしながらもまだまだ決着がつかない海外在住者の独り言です。

滞在許可証と児童手当

国際結婚で海外在住の私にとって、この国に住むためには、

滞在許可証を保持している必要がある。

私のようにこの国の国民の配偶者として申請している者の

滞在許可の最長年数は、5年である。

そして、私の滞在許可証は今年の4月末で切れる。

この国に住むには、この滞在許可証を更新しなくてはいけない。

 

そのことを相手も良く知っている。

なぜなら、私はこの国の国民である相手の配偶者として申請しているのだから、

相手のサインや相手の勤め先からの証明書、及び相手の銀行口座の残高証明を、

滞在許可証の申請書と共に提出しなければいけないからだ。

 

そこを相手はついてきた。

 

お前が離婚を撤回しないなら、俺はお前の滞在許可証を更新しないからな!

お前は子どもたちを残して、日本に帰ることになるんだ!

 

実は私はこの件に関しては、事前に自分で調べていた。

この国の国民である私の子どもたちの母親として、

私は滞在許可証の更新ができるということを。

相手のサインも諸々も必要なく自分で申請できることは知っていた。

しかし、一つ大きな問題があった。

私一人でこのような形で滞在許可証の更新を申請すると、

恐らく、ほぼ間違いなく私の銀行口座の残高証明が必要になると思った。

しかも、その残高証明には、かなりのお金を用意しておく必要があると、

私は考えていた。

そこに関しての情報は不確かだった。

私はこのことをとにかく調べなければ、と思っていた。

 

年末が近づき、突然、相手が私に言った。

ここにサインしろ!

 

それは児童手当の申請書類であった。

この児童手当は、毎年1月末に、通常は母親の口座に入ってくる。

私の場合もそうである。

児童手当用に作った私名義の口座に、この児童手当が入ってくる。

その申請書にサインしろ!と相手は迫った。

 

私はこう返した。

 

いや、でも私は滞在許可証が年明けの4月末で切れちゃうから、

自分で申請できないから、もう帰るしかないから、

来年度からの児童手当は貴方の口座に入金されるように

したほうがいいよ!

 

相手は怒った。

 

これは子どもたちの大事な金なのに、なんでそんなことを言えるんだ!

母親の口座に入金されるのが一般的なんだ!

お前がサインしなかったら、子どもたちのお金がもらえないんだぞ!

 

いや、だからさ‥

と、私は再び返した。

貴方は私の滞在許可証を更新しないんでしょ?

だったら、私の口座にこの児童手当が入金されたら大変でしょ!

来年度からは、俺の口座に!ってお役所に伝えて、

その手続きしたほうがいいよ!

 

俺はちゃんとお前の滞在許可証を更新する!

約束するから、この児童手当の書類にサインしろ!

と、相手がこう言ってきたので、

 

なら、私の滞在許可証を更新する、という事を紙に書いてちょうだい。

と、私は言った。

 

しかし、予想通り相手は書かなかった。

 

自己愛性人格障害者は、証拠を残すことが嫌いだからだ。

 

だから、私も児童手当の書類にサインをしなかった。

 

相手は児童手当の役所に一人で赴いたらしい。

そして、自分の都合のいいように、役所の人に説明した。

私が頑なに児童手当にサインするのを拒んでると。

俺は滞在許可証を申請すると言ってるのに、

日本に帰る!と私が喚いている、と。

 

私は、役所に呼ばれた。

 

もうどうにでもなれ!と思った。

 

役所の女性は、電話でのやり取りの時よりも優しい感じがした。

どういうことなの?

あなたたちが、児童手当を貰おうが貰わなかろうが、私には構わないのよ。

でも、どうしてサインしたくないの?

貴方のご主人は、ちゃんと滞在許可証を更新する!って言ってるわよ。

大丈夫よ。

 

私は、思わず泣き出してしまった。

 

初対面の私のことなんて、ましてや外国人の私のことなんて、

きっと信じてもらえないだろうし、

信じてもらおうとも思ってません。

でも、私は主人との生活には耐えられないんです。

私は自分と子どもたちを守らなきゃいけないんです。

もちろん、子どもたちを残して日本に帰ることなんて考えてもいません。

サインしなかったのは、私ができる唯一の抵抗だったんです。

信じてもらえないでしょうけど。

 

と、泣きながら私はその女性に言った。

 

女性は驚いた。

 

私は続けて言った。

 

どうか、ここでの話を主人に言わないでください。

 

女性は更に驚いた。

私は、あまり主観的にならないように、

でも、私の身に起こっていることをその女性に話した。

 

女性は信じられないようだった。

私は信じてくれなくて構わない、とだけ伝えた。

 

女性は私を諭すようにこう言った。

 

貴女が児童手当のサインをして、

貴女の口座にこれからも入金されるようにしなさい。

貴女にこの権利があるのだから。

 

 

女性は続けてこう言った。

 

誰にも言わないから。

絶対に貴女の夫に言わないから。

貴女とお子さん達に幸せが来るように祈るわ。

 

そして、女性は私を強く抱きしめた。

私は、泣きじゃくった。

 

そして、私は児童手当の書類にサインした。

 

 

見ず知らずの、しかも初対面の、友達でもなんでもない人にまで、

私は自分の気持ちを抑えられなかった。

抑えるどころか泣きじゃくってしまった。

 

私の滞在許可証の問題は解決されていない。

相手は更新が迫るその日まで、脅したりしてくるのだろう。

 

でも、児童手当担当のこの女性に会えて嬉しかった。

 

この方は、後で私にこっそり電話をしてきてくれてこう言った。

 

滞在許可証の管轄の人に、今電話して問い合わせたんだけど、

貴女はお子さんの母親として、更新できるわよ。

強制送還など絶対にされないわよ!

 

私のことを心配してくれて、訊いてくださったのだ。

今度は嬉し涙が止まらなかった。

 

でもやっぱり、滞在許可証の問題は私の頭から離れずにいた。

なんとかしなくては‥と、気持ちばかりが先走っていた。